漆喰のひとかけらを

本にアートに東京北景などなど

【日々の雑感】この夏の記憶

ああ懐かしいカスタネッツ


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(約5,000字)

 

 

 

 

 

 

HP

HPのリニューアル作業を進めている。

 

 

「進めている」と書いたが進められていない。法律ブログの方にも書いたのだが、先日、PCが壊れるハプニングもあった。
多少であるにせよ、作業結果の蓄積が全部パアになりかねなかったので、かなり目の前が暗くなった。幸いにしてデータは無事で、本当に良かった。
今さらながら、今後は対策(バックアップ)も考えておかないといけない。

 


ところで、塾講師をしていた頃、結構な量の教材を作り貯めていたので、以前から、
「機会があったら、汎用性の高そうなのを見繕って公開できるといいな」
みたいなことは考えていた。なので、HPリニューアルのこの機会に、ついでにそっちの(趣味の部屋?みたいな)ページもさわりだけ試作してみた。
遊び(息抜き)が3分の1、ボランティア的公共心が3分の1、自身のコーディング練習目的が残りの3分の1、みたいな感じである。

そして今、だいぶ久方ぶりに昔作った教材を眺めたりしているのだが、
「果たして、どれなら汎用性があって、人さまの参考になるもんだろうか」
と、考え出すと結構深刻に悩んでしまう。
僕の元勤務先は、途中で大手に買収されて大きく勤務環境が変わり、以前は好き勝手できていたものが、買収以降はかなり手足を縛られることになったのだけれど。
好き勝手できてた頃、すなわち、「俺の作った教材こそ至高!」などとイキっていた頃の教材は、今見るといろいろ恥ずかしい。
他方、裁量を羈束されてから作ったものは「補助教材」の範疇を超えることができなかったから、その多くが、『シリーズ性』とか『自己完結性』を欠く。しかも当時の入試問題を意識し過ぎているきらいもある。

 


まぁ、あくまで趣味。
長くやってきた前職とはいえ、もう既に神様にお返ししてしまった能力のこと。
気楽にやろうと思う。

 

 


 

この夏の記録

この
「神様に能力をお返しした」
って表現、僕のオリジナル創作表現ではないのですが、どこで接したのだったか、遺憾ながら覚えていない。
とても素敵な表現だと思う。*1
ほんと、どこで接したんだったかな…。。

 

 

 

本にせよ映画にせよ音楽にせよ美術にせよ、著作物、創作物って、ほんとにいいものですよね。
以下、聴いたり読んだりしたものの記録です。

 

 

 

新書+α

完全にその場のノリで、好奇心で買った。特に何も考えてない。
子ども時代にNewtonを買ってみたのと同じノリである。時にそういうノリになることも大事なんじゃなかろうかとか思う今日この頃。
とはいえ徹頭徹尾「全くわからん…」状態はキツイ。だから、本の前半、ちゃんと一般相対性理論とかの基本部分を紹介してくれてるのも*2、本書を買った大きな理由。
結果的に正解だった。特に後半は本当に分からんかった。いや、前半も「ちゃんと分かったんかお前?」と詰められると怪しいけど。

 

なんか本屋さんで平積みされてたから(なぜ今頃?)、今さらではあるが買ってみた。
うーん…まぁ考えてみれば当然なのかもしれないが、法曹が普通に読んでも楽しめる、という種類の書籍ではないかな…、というのが率直な印象。いかんせん司法修習を経て、一定期間、刑事裁判官の法廷での顔と執務室での顔を両方間近で見る経験をした身としては、本書を読んで新たに感じることは特に(ほぼ)ない。
ただ逆に、きちんと業界外の方向けの説明がいい塩梅に交えてあるから、一般の方の読み物としては良く工夫されていると思う。

 

この3冊は、重厚だった。
扱われてる内容を、それなりにきちんと自分のものにしたいと思って買ったし、読了後はその思いが強まった。ただ、一読しただけでは無理だ。
再読しないと。

『戦略がすべて』。瀧本先生の本は全ての行が切実な学びを伴っている。一冊読むと他の著書ももっと読みたくなる。

現代思想入門』。この本のおかげで、ようやく、フランス現代思想のほんのさわりを捕まえることができた(、かな)。正直、ドゥルーズガタリとか、他の本読んでも何言ってるのかさっぱりだったもんな…。
そうそう。本筋とは少し離れた部分だけど、「読書はすべて不完全である」の箇所で書かれていること読んで、少し心が軽くなったよ。

『現実とは?脳と意識とテクノロジーの未来』。これ、ハヤカワ新書創刊シリーズの一冊らしいが、いかに創刊記念とはいえ豪華すぎんか?こんな錚々たるメンツの最先端議論がこの価格で読めていいのか?

 

これだけ新書じゃないのだけれど、電車の吊り広告で見て即購入決心した。
きちんとした肩書の方が書いてくれていて安心。また、経験に照らして腹落ちする内容も多かった。
それこそ、勉強になった。

 

中野先生の書いたウェブ記事を以前読んだことがあって、一度、MMTの考え方がコンパクトにまとまった書籍は読んでおきたいと思っていた。
僕にはここに書かれていることと伝統的経済学の是非を論ずる能力はないけれど、一応、書かれていることは(ある程度)理解できた。
なるほど。

 

前職の関係で興味があるテーマだったので、ためしに買ってみた。ところどころ、「あ、そうだったんだ」、と思う箇所もある。
ただ…この種の『世界史』と『英語』を直結させた各論的文献を読む前に、『英語史』をひととおり押さえることができる書籍を挟んでおくべきだったかな、その方がもっと面白く読めたかな…というのが個人的後悔。
他方、授業で使える小ネタの引き出しを増やす、みたいな読み方をする分には、良い御本だと思う。たぶん。

 

 


小説・随筆など

伊藤計劃さん×2。

伊藤計劃記録Ⅰ』。生前のブログ*3。何というか、虐殺器官とかハーモニーに繋がる思考の萌芽みたいなのをところどころで見つけることができて、ファンとしては読んでいて楽しい。
しかし、本当に伊藤計劃さんって速筆だったんだな…こんな量のブログ、こんな頻度で書けないよ。

メタルギアソリッド ガンズ・オブ・ザ・パトリオット』。伊藤さんがメタルギアのヘビーなファンだということは知っていたので、そのメタルギアってどんなお話なんだろう、というのはずっと気になってはいた。ストーリー性を損なわず、でも『ガンズ・オブ・ザ・パトリオット』の前提知識(けっこう膨大)がなくてもきちんと読めるように書かれている。凄い。

 

短編集*4であり、書かれた時期はバラバラ。
本屋さんで見つけて、「こんな短編集出てたのか!」と驚いて買った。
アゴタ・クリストフ節を再び味わえて本当に嬉しい。三部作*5・二戯曲集*6を読んだ時に感じた感情の空気感みたいなものを思い出すことができた。

 

しかし、伊藤さんにせよアゴタ・クリストフさんにせよ、本当に惜しい方が命を失われている。

 

ゴッホの半生の紹介+ご著書の『たゆたえども沈まず』の紹介)÷2、みたいな感じ。『たゆたえども~』のほうは未読だから正直、後者の側面は要らんと思ったが、巧い角度の付け方ではあるかな、とも思う。史実とご自身の創作はきちんと分けて書いてくださっているから、気に障るほどではない。
自分が左脳人間なだけだとは思うが、個人的には、美術作品見る上では画家の人生の知識もあった方が断然楽しめる派。なのでこういう御本はむしろありがたい。
修道院(の精神科病院)においてこそゴッホがすぐれた絵を描いた、という評価は、救いがあってとても好き。*7
なお、以前の日記で「アルルと言えばゴッホのイメージ」と書いたが、アルル行きを明確に「都落ち」と表現されると、何故だか僕も少し落ち込むな 笑

 

 


音楽

この↓曲がいい。ここ半年くらい、毎日聞いてると言って過言ではない。


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「心に花を咲かせながら時を刻んで生きていこう」みたいな曲、かな。直接的に歌詞の中に「花」が何回も出てくるわけではないからあくまで私見だけど。*8
朝起きた時に聞くととても気持ちがいい。*9
前向きな曲。

 

前向きだけど、「もともとネガティブ寄りの人間が、少し頑張って、前向きであろうとしている瞬間を切り取った歌」、だと思う。*10
歌詞でいうと特に中盤あたり。

しかたがないから歌を歌おう
気の向くままにギターを奏でよう
きっと晴れのち雨は降るから
素敵な傘を探しに行こう

とか。

 

「前向きであろうとしている」、と書いたけど、決してウジウジした歌詞ではなく、むしろ潔く割り切ってますよね。それこそ朝の気持ちいい空気が似合う仕上がりになっていると思います。
その塩梅というか、醸し出されてる空気感みたいなものがすごく好きです。
そんな歌詞世界に、リズミカルだけど落ち着いたメロディー、ややゆっくりめのテンポ、Shihoさんの声の透明感(ちょっとかすれ気味)がとてもマッチしていると思います。


映像もいい。
影の、青みがかったグレーの色味が何とも言えない効果を出して、どことなく凛とした雰囲気が出てる。

 

 

 

「花」時計という名前の曲なわけだけど、こう、子ども時代から20代にかけて、自分にとって「花」のイメージって"可憐""か弱い・脆弱"寄りで、自分(男性、大柄)にはそぐわない存在だと思ってたし、特に嫌いではないけど好きでもなかった。
Jポップで言うなら、パッと思いつくのは、ラルクのflowerにおける花のイメージだろうか。


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「かなわぬ想いならせめて枯れたい」とか、冷静に考えて病んでいる。*11返歌を待ってる平安貴族か。


あるいはコレ↓か。PV見る方、涙腺注意。


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この曲の場合は最後ちょっと捻りがあるにせよ、でもやっぱり基本的には庇護の対象だしな。


そういうイメージが少し変わったのは30前後だったかな。
この曲↓の「花」のイメージ*12はとても素敵だと思う。


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凛々としたしなやかな強さ、みたいなものが感じられる花、いいなぁって思う。
ココロに花を

 

エレカシ的ダンディズムにおける「花」まで行くと、またちょっと別の存在という気もしますが。


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はーなーをかーざーあってくうぅれよおー
いーつもおーのへーやにー

 

 

 

 

 

 

 

*1:一応断っておきますが、僕は無神論者であり、いかなる宗教にも帰依していません。

*2:ちゃんと覚えてなくて、科学関係のウェブ記事で出てきたときにもどかしく感じることがそれなりにあった。

*3:まさにこのはてなブログの前身、はてなダイアリーで伊藤さんが付けていらっしゃった日記。

*4:短編というよりショートショートと言った方がいい長さ。

*5:悪童日記』『ふたりの証拠』『第三の嘘』

*6:『怪物』『伝染病』

*7:ゴッホはサン=レミで画家としてのある種の勝利を得た。何かに打ち勝ったという気がします。」p96。

*8:むしろ出てこない。1回だけだし、それも慣用句(「言わぬが花」)としての用例である。

*9:歌詞にも「目を覚ませば幸せな時のはじまりみたいな朝」、などとある。何回か"Good morning"ってフレーズも出てきます。

*10:そういう点で、僕の中では、鬼束ちひろさんの『We can go』と少しイメージがかぶる。旅先なんかでぶらっと散歩するときに聞くとすごくいいんだよなあの曲。

*11:いや、めっちゃ歌いましたけどね。高音出ないくせして。学生時代、カラオケで。

*12:「花のように空をただまっすぐに見られたなら」など。