花に亡霊、雲と幽霊。ヨルシカ好きです。
(約14,300字)
*
中小企業診断士2次試験口述試験を受けてきましたので、記憶が新しいうちに記録を付けておきたいと思います。
順序が逆になりますが、1次と筆記については後日書きます。たぶん。
これから受験される方のご参考になれば幸いですが、属性を細分化するなら、
- 僕と同じように弁護士、特に予備ルートで司法試験を受けた方で診断士受験される方
- 口述模試を受けないで臨もうと考えていらっしゃる方、あるいは、模試を受けたくても地理的制約で受けられないとか、受けようと思っていたがどこも満員であぶれてしまった方
には多少の参考になるかと思います。
1.筆記試験終了から筆記試験合格発表までのこと
昨年末はわりとギリギリまで忙しく、仕事が終わった(終わりということにした)時は解放感に溢れていました。あー休める!やりたかったことできる!と。
で、気が緩んだせいか、年明け早々風邪をひき、正月が台無しでした。
それが何とか治り、ダウン中のリカバリーが多少なりとも片付き、「あーあ、しまらない年始だったあぁ」などと思っていた1月12日(金)。
ポストに不在配達票が入っていました。
差出人欄に「J-SMECA」って書かれていたのですが、「ああ、診断士協会か」、と思い出したのは十数秒後のこと。
で、初めは点数のお知らせ(不合格者に送られてくるやつ。現在は、得点開示請求等しなくても親切に自動で送ってもらえる。)かーと思ったのですが、ちょっと考えて、それはおかしいことに気づきました。だって、アレは去年たしか普通のはがきで送れられてきたはずだから、不在配達票の出番はないもの。
ここで初めて、「え…、もしかして当職、合格した?」、という可能性に思い至る。
実は、筆記試験が終わった瞬間、僕、「…今年は終わったな」と思っていました。
特に事例ⅡとⅣは本っ当に分からなかった。前者は適当に空欄を埋め、後者は空欄を埋める時間すらなかった。
で、1次を受けたのは一昨年(2022(R4))だったので、もしまた再チャレンジするとなると、1次から受け直しとなるわけですね。
なので、ぶっちゃけ、今後どうするか考えることすら億劫で、最後の気力を振り絞って再現だけは作ったものの、以後、診断士試験のことは完全に脳内から抹消していました。
というか、脳内だけじゃなく、Googleカレンダーからも。
なので、筆記試験合格発表日(1/11(木))すら、把握してませんでした。
…で、慌ててサイトを確認し、自分の番号を確認したのが12日の日も暮れてからのこと。
ただ、番号あったとはいえ半信半疑で、ようやく「ああ、ほんとに合格したんだ…」って実感が湧いたのは、翌13日夕方に郵便局で通知(口述の受験票)の現物を受け取った時でしたね。
この日、夕方だけですけど、東京も雪降ったんですよね。
郵便局行った時のふだんと違う通りの雰囲気、印象深く覚えています。
2.予備口述の亡霊のこと
もちろん、めちゃ嬉しかったです。ただ同時に、「うわ、うっそだろ、やっべ…」という感じでもありました。
なにせ、サイトで合格確認したのが1/12で、口述試験日が1/21、間8日しかない。当然、外せない仕事も既に入っているので、勉強に割ける時間はかなり限られてしまう。しかも僕、上記のとおり、筆記試験(2023/10/29)以来、何もしておらず、何も覚えていません。
というか、「筆記の後には口述がある」「口述のネタには筆記試験の事例がそのまま使われる」、ということだけは最低限知っていましたが、ほかは何も知りません。口述ってどんな感じなのかとか、みなさん普通何して対策するのかとか。*1
なので、そっから調べないといけない。
いや、もいっこ知っていたことはあって、それは、「口述で落ちる人はほとんどいないらしい」、ということ。
ただ。
僕、その点でひっじょーに似ている試験で、一回、落ちたことがあるんですね。*2
その名は、司法試験予備試験。
予備試験も短答→論述→口述、というスリーステップを辿ります。で、山場は論述とされており、口述はほぼ落ちない。
ただ、それも「口述受験生は全員が論述(しかも予備)に受かった実力の持ち主であり、そいつらが相応の準備をして臨むから」不合格者が少ない、というだけであって、決してイージーな試験ではない(と思う)。
少なくとも僕は、めちゃくちゃ緊張しました。頭が真っ白になるレベルで。
人生で一番嫌だった試験を挙げろと言われたら、予備論述とか司法試験本試験よりも、予備口述って言いますね。
一応、この機会に数値をみておくと。
まず、診断士の方が…
直近5年の口述不合格者数は、(新しい順に)7人、5人、1人、3人、1人。
なお、母数は約900~1600人。
で、一方の予備は…数の推移が一覧になってる資料が見当たらんな…各年度の参考情報資料を参照するに、、、
直近5年の口述不合格者数は、(新しい順に)9人、12人、20人、18人、26人。
なお、母数は400~500人弱。
…うん、予備の方がひどいね。*3
それと診断士、年によってこんなに合格者数に差があるんだ。今さらながら。
閑話休題。
そういうわけで、筆記受かった!ってなったとき、僕の脳裏には、予備口述の悪夢が蘇りました。
また、あの無惨を繰り返すのではないかと。
しかも、何の因果か知らないですけど、2023(R5)年から試験制度改革に伴い予備試験の日程も変更され、口述はもともと秋に実施されていたのが(翌)1月実施にずれ込んだんですよね。
なんと、診断士口述と同じ日。*4
勝手に因縁を感じて胃もたれ気味に始まった、僕の口述体験。*5
3.口述の勉強のこと
まず見た、というより見直したのは、中村真先生のブログです。診断士試験を受けることに決めた初期段階で読んだのが同先生のブログ記事でしたので*6、「なんて書いてあったんだっけな」、と。で、見てみると、先生はTACの口述模試をお受けになったらしい。
まあ、そうだよね、対策するなら模試受けるのが手っ取り早いよね。予備口述の時は僕も受けたし。…と思ったので、申し込もうとしたところ。
全時間帯埋まってました。TACだけじゃなくて、LECもふぞろい*7も、その他の予備校も。さっそく手詰まり。
しょうがないので、今度は「中小企業診断士 口述 対策」でググってみると、いくつか記事が出てきました。そこで見つけたのが「想定問答集」というターム。
どうやら、そいつでイメトレをするらしい。で、自作するっぽいことを書いてるサイトもありましたが、予備校が売ってたりもするらしい。
なので、今度は、「中小企業診断士 口述 想定問答集」で検索。すると、予備校3校ほどのサイトがヒットしました。うち1つは無料、2つは有料。といっても税抜1,000~3,000円程度です。また、紙ではなくPDFでくれるらしいから、買えば即読めます。郵送時間を考慮する必要なし。
ですので、その3つをポチりました。
ふぅ。
なお、ここまでの調査経過で見かけた記事によると、試験では、事案に引っ掛けて単純な一次知識が問われることもあるらしい(「差別化集中戦略とは何か、説明してください」とかですね。)。
したがって、対策としては、
- 二次筆記の4事例を繰り返し読んで頭に入れた上で
- 一次の知識も適宜復習しながら
- 想定問題集をやり込む
ということになるのかな、とアタリをつけました。
アタリをつけたというか、もうこれで行くしかないという感じです。模試・セミナーを受けられない以上、途中で軌道修正もききませんし。
そもそも時間も限られていますしね。
模試、受けたかったですけど、ただそこは、数少ない(であろう)他の国家資格口述試験受験者としての経験があることでカバーできるであろう、できるに違いないと思い込むことにしました。
そもそも地方の方とかは地理的に模試受験が無理でしょうから、その点では条件は一緒なわけですし。*8
まあ、勉強しながら時々予備の緊張感が蘇ってきてメンタル削られた、というのはありますけど、でもきっとそれも考え方次第ですよね。
口述試験の経験がない、という方のほうがむしろ不安が強いものだ、という側面もあるでしょうし。
模試は半分は受験生をボコりに来るんでしょうから、模試を受けたら緊張が和らぐ、というわけでもないでしょうし。
*
で、実際勉強してみて、気づいた点を3つほど。
⑴ 想定問答集の話
上記のとおり、僕は3種類の想定問答集を入手して使いました。
当初は、どれも似たようなもんだろと思っていたんですが、結構違いますね。何というか、方向性からして違います。
僕が一番いいなと思ったのは、AASさんの問答集です。
ⅰ 想定される質問を豊富に(15問以上)挙げてくれている
ⅱ 質問内容(質の面)も、何と言うか、リアリティーというか、「ああ、なるほど、こういう感じのことが聞かれるわけね」、という肚落ち感がある(受けたことない人間が肚落ち感とか言うのも変な話だけど)
ⅲ それぞれの質問に対する回答の例も同様で、納得感がある
ⅳ 回答例のほか、解説が付いていて、当該回答に至る思考の道筋とか、本番までの学習の方向性みたいなもののヒントになる
ⅴ 想定問答集の本体部分のほか、
・冒頭に形式面(試験場の建物に入ってからどんな感じの手順で面接室まで案内されるのかとか、最初に氏名と生年月日が聞かれる*9こととか)の説明
・末尾に先輩受験者(合格者)からのアドバイスが複数
付いている
といったあたりが特徴かな、と思います。*10
これで税込1,100円(たしか)は安い。十分に元が取れます。
なので、僕は、AASさんの問答集を対策のメインに据えて取り組みました。他2つは参考までに一応浚っておく、くらいのイメージです。
時間もありませんでしたし。
⑵ 具体的な対策の話
上に書いたことと重複しますが、その想定問答の中では、大きく分けて2種類の質問が掲載されている感じです。
ひとつは、事例問題。例えば、R5の事例Ⅰで言えば、「統合後、元X社店舗でもアルバイト従業員を定着させていくにはどうしたらいいですか?いくつか施策を挙げてみてください。」みたいなやつですね。
他方、もう一つは、一次の知識問題。これもR5の事例Ⅰを例にとるなら、「職務拡大について説明してください。」みたいなやつ。
これらの中間形態として、「正社員ではなくアルバイト従業員を採用する一般的なメリット・デメリットを説明してください。」みたいなやつもあります。
このうち前者について想定問答集の質問と回答例を併せて読んでいくと、どうやら、『筆記で問われた問題とは完全に別個独立の事柄が問われる』というわけではないらしい、ということが分かります。
ちなみに、AASさんのやつの場合、想定問答の最初の方に載ってるのはモロ、筆記の問題を若干変形したやつ(聞き方を変えてたりとか)ですし、他校さんのにも、筆記と内容が重複する質問は必ず入っていました。*11で、他方、そうでない問題であっても、筆記の設問のどれかとは何らかの形でリンクしていることが多い。
これ、考えてみれば当たり前ではあって、
・同じ企業に関する質問である以上、複数の質問は(程度はともかく)当然に相互に関連はするし、
・筆記試験では当該企業に関する基本的というか、根本的な部分の質問がされているからでもある。それぞれの事例の設問1におけるSWOT分析・3C分析等が典型だけど、それに限らず。
…なので、筆記の設問に対する『自分なりの回答』*12にブレがあると、何というか、口述の想定質問について考えるときも思考にノイズが入って落ち着かない。
したがって、学習の順序は、僕の場合、
①まず、筆記の事例を読み直し、*13
②そのあと、想定問答集(複数)をザッと流し読みして、大体の感じを掴みました。
③その後、筆記の設問について、自分の再現答案と、想定問答集中の記載や予備校が出してる解答予想なんかを照らし合わせて、『自分なりの回答』を固めました*14。固めると言っても、筆記それ自体の対策をするわけではないので字数制限は考慮する必要がなく、したがって表現だとか要素の取捨選択だとかは端から考慮の外。盛り込むべき要素は何かを明確化することだけ(場合によっては要素間の優先度の高低は多少意識しつつ)心掛けました。*15
④その後、ASSの想定問答集記載の(筆記の設問の変形問題以外の)想定質問をイメトレして潰し、
⑤他2校のは前日~当日にかけてサラッと目を通しました。
…という感じです。*16
以上はひとまず事例問題対策なわけですが、上記のうち④⑤は、他方の一次知識問題対策も兼ねています。
ただ、それだけだと少し、心もとないっちゃ心もとない。
というのも、この種の試験で一般的基本知識を敢えて問われる場合って一般的には、試験官が
「ちょっとコイツ(受験生)こんがらがっとるな…いったん単純・基礎的な質問に戻って話の流れを仕切り直そうか」
とかって考えている場合なわけですよ。つまりは試験官の優しさであり、誘導の一環です。*17
ということは逆に、そこで答えられなければお話にならないわけです。助け舟を出されたはずがかえって泥船になって沈んじゃった、ではシャレになりません。
ただ、一次の知識ですから、忘れてます。なんかこう、2×2のマトリックスになってる図、多すぎてこんがらがりません?あるいは、図の内容は覚えてても名前を覚えてなかったりとか。(僕だけ?)
なので、
⑥企業経営理論のテキスト中、出題可能性のありそうなところを軽く見返しておく
…というのは一応、やっておきました。本当に軽くですが。
⑶「2分?」という話
ここで、予備口述の話をちょっとだけ。
予備口述では、「法律をネタとした会話のキャッチボールができるか」が問われます。なので、「会話の流れの中で」「いっぱい」質問が飛んできます。
最初に事案を読まれるんですが、同事案について、まずは基本的な質問(民事なら請求の趣旨とか、訴訟物とかとか)から始まり、だんだん深掘りしていく感じです。もちろん大きな流れはあらかじめ決められているけど、その枠内における質問事項等々は試験官のかなり広範な裁量に任されている感じです。再現みると、受験者の回答によってその後の質問もけっこう変わってきますし。
他方、診断士口述。記事やら想定問答集やらの記載によると、「1問につき、解答の目安は2分」らしい。
試験の最初にそう言われるんだってさ。試験官の先生から。
…
2分?
長くない?という話である。
しかも、聞かれる問題数はだいたい4問で、試験時間は10分くらいらしい。
…
それ、バッファ2分しかないじゃん。試験官の先生からすれば、会話も深掘りもしようがないじゃん。
誘導だって、そんなにタイトじゃやりようがなくない?
となると、結局、会話のキャッチボールというよりは、野球とかに近いイメージなのかしら。
単純に、来た球を打ち返せるかどうか、みたいな。
キツくない?
…というような感じで、ここらへんのイメージは結局、試験本番までいまいち湧かないままでした。
一応、若干姑息なテクニックみたいなものはあって、
「回答の冒頭で質問を繰り返して時間を稼ぐ(その間に頭をフル回転させて考える)」
というもの。例えば、「××について説明してください。」と言われたら、「はい、××について説明いたします。それは…」みたいに答え始めるわけです。
僕は、さすがに質問をまんま繰り返してしまうとあからさますぎて心証が悪かろうと思ったので、質問を自分なりに要約したり、あるいは中心部分を抜粋したり、微妙に変形したりして枕詞にすることにしました(本番でもそうしました。)。
これは、持っておいて損はない引き出しだと思います。
副次的効果として、質問の理解が間違っていたら試験官が割り込んで軌道修正してくれるであろう、ということも期待できますしね。
その他、
「2分は意外に長いから、時間を測ってしゃべる練習もしておいた方がいいですよ」
「ボイスレコーダーで自分の声を録音して聞き直してみるのもいいですよ」
みたいなアドバイスも目にしました。
ごもっともだなと思いつつ、僕は結局、無精してやりませんでした。
だって、2分カッチリを目指してキレイな回答をしゃべり切るなんて、どう考えたってムリだもの。
もちろん、余力があればやるに越したことはないと思いますが。目標レベルを具体化する効用もあるでしょうし。
ただ、それよりは、これは別の方のアドバイスの受け売りですが、
「きれいな説明の仕方を目指すより、多少泥臭くても問いに正面から答えようとすることが大事だと思う、その誠実さを試験官は評価してくれた気がする」
という考え方に、僕は共感します。
そういうイメージで対策に取り組んだ方が、精神衛生上もいいですしね。何より現実的だ、という気がします。
4.当日のこと
以上の対策をなんとか浚って、当日を迎えました。
というか、時間が午後4時からの枠でしたから、当日を迎えた後も絶賛対策中でしたけど。
*
先に試験内容のことを書きます。
⑴ 僕の場合、事例Ⅰと事例Ⅱから出題されました。*18一般的に、4事例中2つの事例が選ばれ、それぞれの事例から2問ずつ出題されるのが通常のようです。
ただ、僕は3問(事例Ⅰから2問、Ⅱから1問)しか聞かれなかった気がするんだよな…事例Ⅰの方は、カウントの仕方によっては3問になるのかもしれないですが。⑵ 事例Ⅰについての質問が先でしたが、最初に何を聞かれたのかがどうしても思い出せません…。
⑶ 2問目にはたしか、
「X社と経営統合するに当たり、A社経営者は、X社経営者にも一定期間残ってもらうことにしました。それはどうしてだと考えられますか。狙い・目的を説明してください。」
という質問だったと思います。これに対しては、一旦そこそこスラスラ答えられた気がするのですが*19、その後、
「ちょっと質問を変えます。今のお答えは対内的な側面にフォーカスしたものだったと思いますが、対外的な意味もあるものと考えられます。そこで質問ですが、X社経営者が残った場合、対外的には何をすると考えられますか?」
みたいな質問が来たんですよね。で、僕、「えっ…と、、、」って黙ってしまいました*20。たぶん十数秒。ヤバい…と思っていたら、
「また少し質問を変えますね。X社の対外的取引先としては、どんな方がいましたか?」
という誘導モードに入ってくれたので、そこから立て直すことができました。で、「引継ぎを円滑に行う目的もあります」、という結論に何とか辿り着けました。⑷ 3問目が事例Ⅱからで、
「B社の顧客である子どもたちが来店するのは、基本的には、成長して前の服がサイズアウトしてしまった時であると考えられるため、B社社長は、その来店頻度をより向上させるため、SNSを活用したいと考えました。どのような施策が考えられますか。」
という質問でした。で、めちゃくちゃ詰まりながら、要旨
「少年スポーツチームのアカウントなどと連携し、試合などのイベントがあるたび、それと関連付けて、パフォーマンス向上に役立つような製品をアピールすることが考えられます。」
みたいなことを答えました。
ちなみにこの時、「来店頻度向上のためのSNSの活用、ということですと…」みたいな話し出し方をしたら、試験官の先生が、
「そう!SNS。それを使って顧客価値向上を目指したいんですが、そのためには…?」
みたいな合いの手を入れてくださいました。
考える時間をもらえてとても助かりましたし、「がんばれ!」というお気遣いが感じられて、大変ありがたかったです。*21⑸ で、よし何とか答えた、あと1問!、と思っていたら、「これで終了です、お疲れさまでした」と言われました。
1問足んなくない…?、という不安はありましたが、会話は辛うじて成り立った気がしたので、あまり気にしないことにしました。
何と言うか、質問のレベル設定が絶妙だと感じましたね。
- ちゃんと回答するとしたら、たしかに2分が目安にはなる
- 何となく方向性は見える、ただあくまで「何となく」である
- よって大概しどろもどろにはなるし、要素に漏れも出る*22、だから多少の誘導が必要になる、
- 他方、しどろもどろだったとしても一定程度答えられていれば、残り時間との関係で、誘導なしで質問を切り上げる、という選択肢もあり得る(だって、落とすための試験ではないですから。)、
…という諸々を考慮すると、4問で約10分というのは、納得感のある時間設定だと思いました。
それから、試験官の先生は2人でした。僕はてっきり片方が主査でメイン質問、片方が副査で意地悪質問とメモ・採点担当、みたいな感じで分かれてるのかな、と思っていたら、違いました。事例ⅠからⅡに切り替わったタイミングで質問者が交替しました。で、一つの事例に関する質問が続いている間は、質問者は変わらず固定されたまま。
特にどちらが意地悪ということもなく、どちらの先生も親切に誘導してくださいました。
僕としては、やや意表を衝かれました。
それと、片方の先生から質問されている間は、僕、その先生に正対する形で答えていました。そうすると、もう一人の先生が何をしていらっしゃるかが微妙に視野から外れて見えません。
いや、見ようと思えば見えたのかも、という気もしますし、実際なにか手を動かしていらっしゃることは分かったのですが、質問者の先生の挙動に集中してたこともあり、どのタイミングで・どんな感じで手を動かしていらっしゃるのかまでは分かりませんでした。
なので、何を答えたときに・それをどう評価されたのかとかは、不明です。
あと、結局、僕の場合は、一次知識は何も聞かれなかったですね。
でも、きっとそこは場合によるんでしょう。事例Ⅳがネタになる場合だと、一次知識を聞かれることも多いような気がしますし。しらんけど。
*
さて、当日の流れ。
試験開始時間は午後4時でしたが、受験票には、30分前には受付を済ませておけ、と指示が書かれていました。
また、複数のネット記事で、
「口述は会場にインタイムで辿り着くのが一番だいじ!だから早めに家を出ておけ」
というご趣旨のアドバイスに接していました。なので、電車トラブルがなければ3時くらいに会場に着くような目安で家を出ました。
会場は池袋の立教大学で、僕の場合、筆記試験と一緒のとこでした。
無事何事もなく池袋につき、地下道をてくてくと。
ザ・休日、という感じですね。試験開始時刻がばらけてるから、筆記の時と違って、受験生が列を作って会場に向かっているようなこともありません。
地上に出ても、時折、「あ、試験終わった受験生だろうな」というスーツ姿の人とすれ違うくらい。
天候はあいにくの雨(小雨)。
大学入口前には、予備校から応援&チラシ配りの人たちが来てました。ただそれも、筆記の時と比べればこじんまりとした感じ。
中に入ると、案内係の方が寄ってきて、「受験生の方ですか?試験は何時からですか?」と質問されました。
「予定時刻は4時です」と答えると、「では、時間には余裕がありますので、入って左手奥の待合室でお待ちください」とご丁寧にご案内くださいました。
待合室(大教室)には受験生がズラリ。席順は順不同。スペーシングには余裕があり、座るのに距離が近くなりすぎるようなこともなかったです。
ちなみに受験票には「会場内では電子機器使用禁止」の旨書いてあったのですが、みなさん普通にスマホで音楽とか聴いていらっしゃいました。*23
ああ、そうだ。僕が見た限りですけど、私服の方はいなかったですね 笑
ただ、立派なお髭を生やしていらっしゃるダンディーなお兄さんはいました。
ホワイトボードを見ると、
「試験開始時刻15:12・15:24・15:36の受験生は××教室へ」
みたいな感じの案内書がされていました。なるほど12分刻みなのね。で、僕は20分後くらいに呼ばれるわけね。
で、トイレを済ませて最後の見直ししているうちに、
「試験開始時刻午後4時の受験生の方は~」
と、僕らも呼ばれました。
*
案内係の人に付いてって階段を上がり、中教室みたいなところへ入り、受験票の確認を受け、首から下げるストラップを受け取ります。セキュリティ付きオフィスの社員証みたいなイメージですが、入っているのはただの色付きカード。僕の場合はたしか赤色。どうやら試験開始予定時刻ごとに色分けされている模様。
ここで試験開始まで待つ感じかな、ここが予備口述で言うところの発射台かな、とか思っていると、もう一度教室異動がありました。
そこでは、一つ前の試験開始予定時刻の皆さんが班番号順に整列して待機していらっしゃいます。*24で、僕らはその左隣に座ります。
僕の場合は22班でしたから、『22班、試験開始予定時刻15:48の方』(カードの色は黄色だったかな)の左隣に座った、ということです。
で、時間が来ると、試験開始予定時刻15:48の受験生一人一人の右隣に案内係の方が付いて、注意事項(スマホは電源を切ってカバンの中にしまってください等々)を説明の上、皆さんを該当教室に連れて行きました。
残った僕らは、席を右側に詰めます。それから数分すると、今度は、試験開始予定時刻16:12の方々が教室に来て、僕らの左隣に座りました。
この教室内では、すぐ自分のターンが来るからか、特に何も勉強せず座って待っていらっしゃる方が多かったです。かく言う僕もわちゃわちゃするのが嫌で、目を閉じてイメトレしていました。
そうしているうちに、僕が連れていかれる時が来ました。
*
連れていかれた先は、小教室の前。
「時間がきたらお声がけしますので、そうしたらノックの上、返事を待たずに入室してください。荷物置き場は入ってすぐ左手にありますので、そこに荷物を置いて試験官の前に進んでください。それで試験開始となります。」
みたいなご案内を受け、教室前(廊下)で着席。
10分くらい待つのかな、と思っていましたが、実際には、3~5分程度待ったところで入室を促されました。
ノックして入ると、確かにすぐ横に、机が2~3個固めてあって荷物置きにしてあります。
同じように、試験官の先生方の前にも机が固めてあって、いろいろ書類が置いてあります。その数メートル前に受験者用の席(椅子)が用意してあります。
荷物を置いて関の横に進むと、
「どうぞお座りください」*25
「はい、失礼します」
「ではまず、お名前フルネームと生年月日を和暦で仰ってください」
「はい、××、生年月日は△△です」
「これから口述試験を始めます。筆記試験で出題された4つの事例のうちいくつかを素材に質問しますので、それに対して、中小企業診断士として回答してください。回答の時間は、あくまで目安ですが、2分程度とします」
「はい、承知いたしました」
みたいなやりとりがあり、そこから試験開始、となりました。
*
で、試験終了して退室すると、案内係の方から、
「お疲れさまでした。このままお帰りいただいて結構です。」
みたいなご案内を受け、帰りました。
幸い、雨は上がってました。
5.試験後のことなど
この日記、約1週間かけてここまでボチボチ書いてきたんですが、本日1/31(水)は最終合格発表日。
無事、合格することができました。
嬉しいです。しみじみ。
ちなみに、2月の実務補習は、もう明後日の2/2から始まります。で、申込期間はなんと1/12(金)から、つまり筆記の合格発表の翌日からです。
で、すぐ埋まっちゃうらしいです。もちろん僕は申し込んでないし、申し込もうとすらしませんでしたけど 笑
ゆっくり、7~9月なり来年2月なりに受けようと思います。*26
なので、それまでの間は、いずこかの団体に入れていただいて活動しつつ、弊業界の外のいろんな人と交流してみようかな、と考えている次第です。せっかくだし。
まあ、人見知りなんですけどね。がんばれ当職。
そうそう。多分なんですけど、そういう団体が主催してる口述模試とか口述セミナーとかって、メンバー募集の告知なんかも同時にされてるんじゃないですかね、きっと。なので、人脈を広げたいと考えていらっしゃる方は、そういう意味でも、できるだけ参加した方がいいのかもしれないです。
そのためには、筆記合格発表に先立って、チェックすべきサイトなりSNSアカウントなりを整理しておく必要がありますね。*27
口述体験記、以上です。*28
*1:ここまで来ると「お前それは受験生としてどうなの?」と我ながら思わんではない。
*2:なお、予備口述のほか、二回試験も「ほぼ落ちない」という意味では似てはいますね。予備口述にせよ二回試験にせよ、「ほぼ落ちない試験だから安心して良い」とはならないところが本っ当に恐ろしい。
*3:こうして比較してみてみると、予備口述、むしろこんなに落としてやがったのかと思う。平成30年26人て。旧司みたく論文免除があるわけでもないくせにさ。
*4:正確には、予備は土日の2日を使うのに対して診断士は日曜1日だけですが。
*5:とはいえ今回は、ぶっちゃけ、「むしろ落ちたらおいしい側面あるかも」と考えるくらいの余裕はありました。①そういう視点を診断士試験自体を通じて身に付けたこと、②2つめの資格獲得に向けた試験であること、に加えて、③ちょっと前、SNSを通じて、僕と同じように予備口述に落ちた経験/経歴を活かして、司法試験合格後から受験指導で活躍されてる方と知り合って刺激を貰えたことが大きいです。知り合いって言ってもFF関係になって何度かDMのやりとりしただけですけど。
*6:そうそう、なので、最初に同ブログを見たときは、絵の中の中村先生が着てるTシャツの柄、意味が分からなかった(何の反応もできなかった)んですよね。「カット形状不均一」ね、ボケが細かいな 笑
*7:というか、ふぞろいって模試とかもやってくれてたんですね。書籍作成とブログだけかと思ってました。初めて知りましたよ。
*8:あるいは、最近はZoomでの口述模試なんかも開催してるのでしょうか。ちょっとそこはよく分かりません。
*9:ここは予備口述とは違いますね。あっちは匿名処理がされていて、会場で知らされる受験番号みたいなの名乗るんじゃなかったかな、たしか。
*10:正直、ⅱⅲは、AASさんのやつの特徴というより、他校さんの問答集では首を傾げた(けどAASさんのではそういうことはなかった)、というのが率直な印象ではあります。
*11:なので、その部分に限って言えば、もはや筆記試験の予想解答に近い。逆に言うと、口述の想定問答集だとか体験記だとかって、筆記対策の合間に読んでも参考になるのかもしれない。
*12:正解が分からないやつも多いので、必ずしも『唯一の正解』にこだわる必要は、個人的にはないと思う。論理の筋が通ってさえいれば。
*13:めちゃどうでもいい話ですが、筆記時に持ち帰った問題冊子の方が記憶喚起に繋がりやすいかな、と思い、まずはそっちを引っ張り出しました。で、その後、後述③④⑤の作業をしながらマーキングをする用に、新たに協会HPからDL・プリントアウトしました。
*14:なので、口述対策という意味でも、筆記後の再現作成はマストですね。もちろん、落ちてた時の振り返りのためにも。ホント、やっておいて良かったです。
*15:この学習って、やってる過程で自分の解答の誤りに気付くから「うわぁ…」と感じたりもするんだけど、個人的にはむしろ、分からずに適当に書いた箇所の予備校の解答解説なんかを読んで「ああ、なるほど、そういう感じか!」と肚落ちする楽しみ(?)の方が大きかったです。だって、既に筆記には合格したっていう結果が出てる以上、どんだけ間違っていようがさしてメンタルは揺らぎませんから。
*16:なお、「一番大事なのは与件文の読み込みであり、『ストーリー』と『SWOT分析』をカッチリ押さえてさえいれば口述対策としては十分だ」みたいな見解をそれなりにお見掛けします。ご趣旨には同意するのだけれど、私見としては、「与件文にある事案の概要をきちんと自分のモノとして咀嚼するためには、むしろ、想定問答集を潰す作業はかなり有用」だと思います。アウトプットなしにインプットなんかできないわけだし。事例を分析するにも解答の例くらいはあった方が客観性を担保しやすいし。
*17:ただ、これは口述試験後にこのブログを書いている過程で偶然知ったのですが、平成14年度の試験では「デファクトスタンダード」の説明が求められ、答えられなかった受験生が全員不合格になった、ということがあったらしいですね。これが試験制度開始直後のオペレーション不全によるエラーなのか、それとも再び起こり得る事象なのかは判然としません。
*18:(2/1追記)筆記の成績が返ってきたので見てみたところ、僕、事例Ⅰ、次いで事例Ⅱがいちばん点数が低かったです(Ⅱはともかく、Ⅰはまじでびっくり)。なので、「口述では出来の悪い設問2つが選ばれる」みたいな話、あながち単なる都市伝説だとも思えなくなってきました…。
*19:たしか、ノウハウの承継と従業員の離職防止の観点から説明した気がします。
*20:「引継ぎ」というワードは出てきたんですが、文章の形で説明を言語化できずに詰まってしまいました。汗。
*21:あるいはひょっとしたら、SNSじゃなくてHPの活用とか(あとはアプリとか)、制約条件を無視した解答がそれまで散見されたため念を入れた、という可能性もありますね。
*22:なお、僕は最初からしようとは思いませんでしたが、ヤマ張りは止めた方が無難じゃないかな、と思います。現場で無駄に焦る要因になり得るとか、予想問題に引きずられると問いに素直に答えられなくなりがちだとか、弊害が多い気がします。想定問答集はあくまでシャドウボクシングみたいなものだと思います。
*23:このへんは予備口述より全然緩いですね。というかあっちの場合、たしか建物に入る段階で封筒みたいなの渡されて電子機器類はそれに入れさせられるんじゃなかったかな。待機時間中のトイレもいちいち係の人が付いてくるし。係の人愛想の欠片もないし。問答無用で半日缶詰にされて背中痛くなるし。東京地検地下の弁録待ちかってんだ。思い出すとだんだん腹立ってきたな。
*24:このとき見た限りだと、たぶん、立教大学会場の受験者は36班に分けられてたっぽい。他方、試験開始時刻が12分刻みだから、仮に試験実施時間帯が9:30~17:30で中1時間昼食休憩だとすると、各班35人の受験者がいることになります。ただ、もしそうだとすれば、立教大学の受験者だけで35×36=1,260人いることになるんですよね。さすがにそれはおかしいわ。どうなってたんだろ。
*25:着席が先だったような記憶だけど、もしかしたら名前生年月日の確認が先だったかもしれません。ちょっとここはあやふやです。
*26:ただ、来年2月から最小コース日数が変わるらしいせいで年をまたぐと若干面倒というか、無駄が発生しかねないというか、ちょっとアレな感じになっています。まぁ、それも含めて考えます。
*27:心がザワつくであろう合格発表直前にその作業をするのがアレなら、筆記直後にやっておくか、何なら筆記の勉強と並行して息抜きがてらやる、というのもアリですね。僕だったら筆記直後にやるかな。
*28:ちなみに、今年は口述不合格者は2名だったみたいですね。