気付けば3か月ぶりかあ…まぁ、忙しかったしな…。
(約4500字)
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司法修習地について。
昨日、サウナに入っていたら、某バラエティ番組で、我が修習地の商店街を舞台にお笑いが繰り広げられていました。
本当に懐かしかったです。修習地、自分にとっては、故郷よりも故郷な存在です。
司法試験に受かった後、実務に出る前に、我々はちょっと長い間、司法修習と呼ばれる(いわば)見習い期間を経ます。*1
期間・時期・やり方は期によって微妙な変遷があります。ただし、中核は変わりません。各地の裁判所所在地に散らばって受ける、実務を間近に見てのトレーニング(実務修習)です。我々の言う「修習地」というのは、この実務修習を自分が受けた場所のことを言います。
僕(71期)の場合は、司法修習じたいが12月初めから翌年の12月初めまでの1年間で、そのうち1月の頭から9月の終わりまでの9か月が実務修習でした。*2
地方会の場合、本庁裁判所・検察庁、そして弁護士の先生方皆様が、我々を歓迎して下さいます。全体としても、お一方お一方としても。
また、同地修習生じたいもそんなに多くはなりません。僕の場合は18人でした。結果、(良くも悪くも)関係は密になります。
僕は、こう、恩師なり友人なり、「今の状況が落ち着いたらご挨拶に伺おう、飲みに誘ってみよう」などと思っているうちに機会を逸して交友関係が希薄なりがちなタイプなのですが、結果としてそうなりがちなだけで、会いたい人には本当に会いたいと思っているわけで(誰に対する言い訳ですかね 笑)。
上記番組を見て、その人たちの顔が浮かびました。
みんな、どうしてるかなと。どちらかというと、多かれ少なかれ大変な思いしてる可能性の方が高いと思うけど。
別にいいことだとも悪いことだとも思ってはいないが、僕は、一応まだ、バッヂは外さずにやっています。
あまりしょい込み過ぎず、気楽にと言うと少し違うが、まあ、多少淡々と、それなりに平和にやっていけたらいいよな、お互いに。*3
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以下、ここ数ヶ月の間に読んだマンガやら本やら、聴いた音楽のうち一部の記録です。
マンガから。
真希かわいい。最後急展開。
ビディかわいい。部長がフィオナに目つけてたの草。
この漫画、ホワイダニットの解明にカタルシスがある上、微妙な心理の描写がすごくお上手で、読むたびに何かこう、新鮮な気持ちになるんですよね。*4
でも紅娘こわい。
9巻、よもやのオチ…ネットで「こいつ怪しくね?」とか言われてたのは知ってましたが、職業柄と言うのか何というのか、それはないと思ってました。安易なそのオチは寒いぞと。
しかし、予想のナナメ上を来た経緯でしたね。それに、確かに言われてみれば、伏線はいくつか張ってあったんだよな。婚約不履行で訴える云々のくだりはさすがに不自然だし。*5
で、10巻。セリフにいちいち、共感できるところが多かったなぁ…。
乃木坂太郎さんの漫画、いつもこうなんだよな。
話の中盤あたりから怒涛の展開になってきて、いろんな描写がグサグサグサグサ刺さってくるんだよ。
以上に加えて、中武士竜さんの『十字架のろくにん』を一気買いしました。最新刊の10巻だけ画像貼り付けます。
別マガ(購読してる)に載ってた頃(超初期)おもしれえ!!って思ってたんですが、すーぐマガポケ(購読してない)に移籍しちゃって、以降の展開を追えずにいました。ようやく追いついたぜ。
まさかの第二部的展開ですよ。わくわく。
次、小説。
裏表紙のあらすじ読んで、表題作がなんか伊藤計劃さんっぽいなーって思って、気になって購入しました。
初ハードSF。こういうのか、ハードSFって。
3つの短編(中編)が入ってますが、1編め、これは……いや、やめよう。ネタバレになる。
淡々とした筆致がいい。
ちなみにマティス展、今、東京都美術館でやってますね。行きたいな。
新書。
前者は流れを付けて説明してくれてるから、それなりに頭に入ってきやすかったな。
業界変化の予想内容がちゃんと具体的なのが凄いな。
これ、シリーズものなのね。気が向いたら他も読んでみよう。
隣の芝は青い、みたいな読後感で終わりがちなこの種のテーマだけど、ちゃんとフィンランドの課題にも随所で言及されてるのが良心的。
しかし、いいなぁフィンランド…パーソナルスペースが広いって話、初めて聞いた。
バス待ちの画像って、例えばこれか。
いいなぁ、この国民性…いいなぁ……距離感が遠いのに、ものすごく親近感がある…。
最後、音楽。*6
ちょっと前にご紹介したことがある『Ghost of a smile』、ふと思いついて、カバーの聞き比べをしてみた。
EGOISTさんの本家本元だけど*7、僕、最後の最後の、「散歩でもしに行こう」と「君に会いたい」の間のとこが超・絶妙で、すごく好きです。
ここ、それまでずーっと4分以上抑制して歌ってきた感情が、一瞬だけ迸る箇所なんですよね。かといって絶叫するわけではない。
"ah"が2回入るんですが、特に1回め、声が揺れてタガが外れかけるところがすごくいい。で、2回めの、かすれて悲しみに満ちた"ah"が続いて、血を吐くような「君に会いたい…」に繋がる。
歌詞の詠み手の感情が凝縮されているようで、とても、とても好きです。
で、カバー。
いろいろ聞きましたが、本家に近いのは、花鋏さんのバージョンかな。
染み入るみたいに、声がスッと入ってくる。
他方、以前ご紹介したLuciaさん&ぱあぷさんverは、なんというか、豪華版というか、sanctified verとでも言うか。*8
この曲は慟哭と抑制の絶妙なバランスで成り立ってるわけだけど、それを2人の歌声を合わせることで表現してらっしゃるところ、新鮮。
男性ボーカルによるカバー、というのもいくつかお見掛けした。
その中で一番イイな、と思ったのは、この↑甲斐田晴さんのバージョン。*9
正直、歌詞的に男性が歌うイメージはなかったのだけれど、この方のカバーは、キーを下げてらっしゃる分、特に前半、囁いてるみたいな静かめのトーンを実現できてて、違和感がない。と同時に、間奏後の後半の感情が入ってる部分との歌い分けが効いてる気がする。
さて、今回一番「これはいい…」と感じたのは、実はEnglish Coverである。Leirionさんという方が翻訳して、かつ歌っていらっしゃる。
ご本人様のブログのうち、掲載箇所は【こちら】。
僕は純国産人間ですが、これがすごく工夫された訳であることは感じ取れるし*10、しかも、ただ訳しただけじゃなくてメロディーに乗せて原曲と同じように歌えるように仕上げられているなんて、凄いな…の一言に尽きる。
僕は曲の好き嫌いに歌詞の内容が影響する程度(割合)がかなり高い人間です。歌詞重視派。
で、僕は、この曲をもともと日本語で聞いて好きになったわけですが、当時の感動みたいなものは、何度も繰り返し聞いてるうちに、どうしても、少しずつ薄れてくる。
それが今回、Leirionさんの英語バージョンを聞くことで、この曲の歌詞に初めて接したときの新鮮な気持ちを再体験することができた。これは初めての経験でした。まさか、同じ曲の歌詞で2回、感動できるとは思わなかった。
また、お陰さまで、この曲を通じて、僕の中で、(改めて)故人を弔うこともできた。
この場を借りて、Leirionさんに、お礼を申し上げたいと思う。
</mourn>*11
*1:なお、締め括りには、地獄の試験が待っています。
*2:ちなみに、今年(令和5年)から、司法試験の日程が7月中旬に変更になります(僕の時は5月)。で、当然、それに伴って司法修習(今年受かった方々は、77期司法修習生になられます。)の時期もずれ込んで、今後は3月半ば開始になるみたいです(いくつかのサイトでそう書かれてただけでソースが見当たらず、未確認情報ですが。)。とすると4月初旬~中旬に実務修習開始かな。それもまた季節柄、風流ですね。
*3:同期に話しかける口調で書いてしまったが、恩師の先生(弁護修習指導担当)はお元気だろうか。事務所の事務局の皆様はお元気だろうか。気さくに飲みにつれていって下さった、裁判官の皆様や弁護士会の先生方はご健勝だろうか。
*4:ただ、僕、原作小説未読です。読みたさバロメーターが閾値に達したら一気買いしようとか思ってます。
*5:フィクションに業界的自然さをどこまで求めるかの問題はあるけど、乃木坂太郎さん、基本的には、本当によくお調べになってるんだなぁ…と随所で感じる(法廷でのやりあいは変だけど、まぁ、ここはしょうがないよね。)。
*6:Ghost of a smileの話で書き疲れた笑 新たに接した曲の記録はまた今度。
*7:ライブ版じゃないやつでオフィシャルな動画はどうやら見当たらないっぽいので、他の方が上げてるEGOISTさんのボーカル音源貼るのも自粛しておきます。
*8:SingLikeTalkingがシングル『Spirit of Love』をアルバム『Welcome to Another World』に収録する際、アレンジを施してSanctified Versionと名付けた、という少しマニアックな事例がある 笑
*9:ただね、肝心なところで歌詞間違えないでくださいよ!
*10:むしろ、目から鱗でもある。なるほど、「見たことないような顔で」とか「僕の分まで泣かなくていい」とか、そんなふうに訳せるのか…と。
*11:元ネタは、分かる人には分かるでしょう。